■PiC Interview VOL.014 「!」
(第一回)

さて、「!」(EXCLAMATION)という耳慣れないユニット名を聞いて首を傾げた人も多いかもしれない。実はこのユニット、昨年末に地球制服を終了した聖飢魔IIのヴォーカリスト、デーモン小暮閣下が9月からスタートしたソロ・プロジェクトだ。サウンドプロデューサーはScuderia Erecrtoの吉澤瑛師と寺田康彦。

デーモン小暮閣下は日本屈指のヴォーカリストであるが、様々なジャンルを渡って活動する表現者でもある。メジャーという舞台で表現活動を続けることがどういうことであるのか、カウンター=格好良い という錯覚に陥った全国のイラストレータ使いには是非とも読んでもらいたいインタビュー・シリーズの第一回目。

Interview&Text,Photo/大屋友紀雄・松谷創一郎】
........................................................................................................







■中学・高校時代にのめりこんだもの

閣下 さて、今日はどのようなことを?

──ええと。各ジャンルの表現活動をされている方に、どのような ものに影響を受けたり、興味を持ったりするのか? ということを 伺いたいのですが。

閣下 なるほど。我が輩は色々な意味で複雑だから、ポイントを絞っ た方がいいかもしれないぞ。

──わかりました。今のところ、それぞれの方に共通の質問として、 小説や本というテーマを必ず伺っているんですが。本は良く読まれ るんですか?

閣下 本はだな、世を忍ぶ仮の姿での中学・高校まではかなり読ん でいたのだけれども、それ以来は一切読まないと言ってもいいくら い読んでいないな。最近はどちらかというと漫画をよく読むかもし れない。

──では、中学・高校の時にはどんなものを?

閣下 基本的にはその時々で話題となったものを中心に読んでいた のだが、特に読んだのは相撲関係の本だ。

──現在でも、相撲研究家として活動されていますよね。その頃か らなんですか。

閣下 いわゆる相撲関係の書籍と呼ばれるものは、意外とたくさん あって。そうだな、最初は何年に誰が優勝したか、ということから 始まるわけだ。そしてそれから土俵のこと、歴史のこと、しきたり のこと……際限なく興味が拡がっていった、と。結局我が家には、 500冊くらいの相撲関係の書籍があるのではないかな。

──500冊! それは、中学・高校時代だけでですか?

閣下 もちろんそう。思えば当時、小遣いのほとんどをつぎ込んで いたような気がするな。

──……例えば神道の結びつきとかそういうことに興味が移ったり するわけですか?


閣下 いや、相撲を神道と結びつけられたのは明治以降だから、そ んなに気にはしない。もともと相撲は、農耕の儀式とか行事との結 びつきが深いものだからな。

──というと、どちらかと言うとお祭りとかそっちの方?

閣下  そうそう。まあ、相撲の場合、記録として知ることができる のはこの時期のここまで、と限られているのだけれども……(以下、 インタビュアーの二人しばらく相撲講義を受ける)。

──あの、やっぱりいわゆる多感な時期には『カッコいいもの』に 憧れたりするわけで。で……あまりいないですよね。若くしてそこ まで相撲にのめり込むのは(笑)。

閣下 我が輩は流行というものに全く興味がなくて、むしろ流行と聞くと離れていってしまう性格だったわけだ。世の中で何が流行っている、ということではなくて、自分がその時に「面白い」と思ったものが面白い。とにかく視野を大きく持ってしまうタチなのでな。

──それは、今も変わらないみたいですよね。

閣下 そうだな。今も流行には興味がない。


■音楽に対して、思うこと


──なるほど。そして……相撲好き少年が大学へ行って音楽に目覚 めるといった感じなんですか?

閣下 いや、そう簡単に我が輩を一括りにしてはいかん。別に相撲 だけというわけではなくて、音楽や映画もやはり平行してたくさん 調査していたのだ。アニメの主題歌から始まって、歌謡曲、フォー ク、ニューミュージックとその時代時代のものだな。というのも、 我が輩はそういった情報をラジオでエアチェック(編註:ラジオを テープに録音すること)するタイプだったのでな。

──ああ、当時はラジオでエアチェックでしたよね。レコードは買 わなかったんですか?

閣下 その時代に自分で金を出して買ったのは……ううんと……も しかしたら一枚もないかもしれん(笑)。あ、いや、相撲甚句は買っ た。

──1枚もですか……。それはミュージシャンの青春時代としては かなり珍しいかもしれませんね(笑)。

閣下 うむ。そうかもしれない。

──いわゆる、音楽に対してのこだわりとか……そういうのはいつ 頃から?

閣下 基本的には何か自分が表現したいことができるのであれば何 でもいいので、別に音楽じゃなくても構わないわけだ。たまたまミュ ージシャンとしてデビューして今までやってきたので、こういうイ ンタビューでも必ず『音楽に目覚めたきっかけは』であるとか『他 と比べて音楽を選んだ理由は』と聞かれるが、別に音楽だけ、とい うこだわりはない。それは、今も変わらない。

──学生時代はともかくとして、これだけ長く活動してきて、今も というのはある意味凄いですね。大学に入学してからはどんな感じ だったんですか?

閣下 世を忍ぶ小暮家は、実に教育熱心だったのだ。我が輩は中学 も高校も大学も受験したし。その時、親がよく使っていた勉強させ るための「釣り文句」というのがあってな。「大学にさえ入ってし まえば、音楽でも相撲でも好きなことを思いっきりできるから」と 言われて。

──釣り文句(笑)。

閣下 だから、大学に入学すると、もう今までのタガが外れて『さ あ、好き勝手にやらせてもらおうか』という感じで。音楽と演劇と お笑いの3つの団体に同時に所属することになるわけだ。

──3つもですか。さあ、どこから伺うか。

閣下 だからポイント絞った方がいいと言っただろう(笑)。


次週に続く




【デーモン小暮閣下/プロフィール】
聖飢魔IIのボーカリストとしてデビュー以来、その才能は音楽のみに留まらず、全方位マスコミへの出演や相撲評論家としても活躍し、 1994年にはCNNラリーキングショーに日本ミュージシャンとして初めて出演。CM出演でも話題を集め、中でもフジフィルム「 写ルンです」CMにて大賞やタレント賞を受賞。

1999年12月 31日、予定通り地球征服を完了。征服の地球で今後も「表現者」 (歌唱、演劇、TVタレント、ラジオパーソナリティー)、「演出家」(舞台、CD、アミューズメント・スポット)、「文筆業」( エッセイ、批評、作詞)、「思想家」、「ジャーナリスト」、「客寄せパンダ」などの活動を行い、幅広く活躍している。

今年9月に ソロプロジェクト『!』(EXCLAMATION)を始動。サウンドプロデュースには、あのScuderia Erecrtoの吉澤瑛師と寺田康彦を迎え、 さらに新しい活動を行う。



バックナンバーのトップに戻る