■演劇、音楽、そして第三の活動であるお笑い
──さて、先週までで、音楽と演劇のふたつの話を伺ってきたわけ
なんですが、もうひとつ、お笑いという方向性もあったわけですよ
ね。今週はそのあたりからお願いします。早稲田ウルトラ警備隊と
いうユニットがあったんですよね?
閣下 早稲田ウルトラ警備隊はだな、グループというか、なんとい
うか、メンバーも固定していなくて……。とにかく我が輩がいれば、
「早稲田ウルトラ警備隊」だった。
──ということは、一人ユニット形態の先駆けですね。コーネリア
スなんかよりずっと早い(笑)。
閣下 そうそう。ずっと早い(笑)。当時、ちょっと変わった奴が
いて、そいつが「関東学生エンターテイナー連盟」なるものを創っ
たんだよ。東海大の藤井という男なんだが(笑)。
──藤井さんですか(笑)。
閣下 そう、藤井(笑)。奴は、我が輩のようなエンターテイナー
をイベントなどにブッキングするのに、個人単位だとややこしいか
ら、登録制にして一箇所に集めてしまおう、ということを考えたん
だな。それで、大学の企画サークルとかと組んで、各地のパーティ
に出演するわけだよ。あとは店のオープニングイベントとか。一週
間続く美味しい仕事とかもあって、かなり楽しかったな。当時、大
川興業も「関東学生エンターテイナー連盟」のメンバーだった。
──それは……実に楽しそうな生活ですね(笑)。
閣下 うむ。好き勝手にやっていたな。で、その時に、とある有名
な漫才師から「正式に弟子入りしないか?」という話もあったんだ。
──結局、お笑いでも、プロになる道が開かれていたと。
閣下 そういうこと。だけど、雑用とかを一から始めるのもどうか
なあ、と思って断わったんだ。
──断わっちゃうんですね。
閣下 その頃には、既にあちこちで可能性が出ていたしな。
■社会への視線
──最近気になることって何かありますか?
閣下 そうだなあ。聖飢魔IIの布教が完了してから、ビデオの編
集があったり、ソロのレコーディングがあったりと、ずっとやるこ
とだらけだから、最近は正直言って気になることがない……という
か、物理的に不可能だったりするな。あ、南北線に新しい駅ができ
たので、電車に乗ったりとか。それで、人を観察したり。そういう
のは常にやっている。
──電車ですか?
閣下 そうそう。電車に乗って人や環境を観察すると、面白い。性
格が悪そうな人がいたり、良さそうな人がいたり、イライラしてい
る人がいたり……色々な人がいる。今日は何を考えているんだろうな、
とか。
──聖飢魔II時代でもそうですし、新作の『AGE OF ZERO!』でも
そうですけれど、閣下の歌詞には、どこか社会に向けて、という視
点がありますよね。
閣下 我が輩は普通の芸能人と活動範囲がちょっと違うわけだよ。だ
からあちこちからコメントを求められることが多い。そういう時のた
めに準備をしておかなければならない、なんてことは考えるな。
──そういう社会への視線というのは、どこから出てくるんですか?
閣下 どこからというよりも、むしろ、自分というものが「それを
するべき存在なんだ」という感じ。
──最近は、そういういわゆる社会的なことを考えることって、少
なくなってきているじゃないですか。特に、僕たちを含めた若い世
代の間では。
閣下 物事には『いい悪い』と『好き嫌い』の軸があると思うのだ
が、そのふたつは違うものだから、それぞれバランスをとらなくちゃ
いけない。最近の人間は、そのバランスが悪いのではないかな。
──どちらかというと、自分が気持ちよければそれでいい、みたい
な感じですよね。最近は。
閣下 やっぱり、何をするにしてもある程度の社会的なベースとい
うものは求められるわけで、それができていなければ、何を言って
もしょうがない。好きなことしかやらないで、「俺はアーティスト」
と言ってみたところで、それは結局『好き嫌い』の話でしかないわ
けだ。『いい悪い』とは別の話。だったら、勝手にやっていろ、と
一言で終わってしまう。こう言うと、説教くさいのだけど、最近は
そういうことを言う人も少なくなったんで、誰かが言わないと、と
いう思いはあるな。
──耳が痛いです(笑)。最後になりますが、これからの活動につ
いて。今までとの違いは何かありますか?
閣下 基本的には今までとあまり変わらないな。結局は形態が違っ
ても、自分がやるべきと感じたことをやる、ということが基本だか
ら。まして今までもソロの活動も長いことやってきたわけだし。強
いて言えば、聖飢魔IIでの活動の時には、メンバーそれぞれの好
き嫌いというものがあったので、それをまとめる部分もあった……
だけど、
今回は当然ソロ・プロジェクトなので、よりデーモン小暮
のやりたいことが前面に出てくるかな。いずれにしても、今回集まっ
てくれたプロジェクトの参加者と、これから創りあげていく、とい
うような感じでやっていきたいと思う。
──これからライヴも始まりますね。頑張ってください。どうもあ
りがとうございました。
閣下 期待に応えて何ぼなので、期待は大きく持っていてくれたまえ。
(次週、松谷レビューに続く)
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