■PiC Interview VOL.016 「!」
(第三回)

今回のインタビューは、全体を通して、ジャンルにとらわれないこ とがテーマとなった。メジャーシーンで長い間活動を続けてきた立場から、若い世代へのメッセージを聞く第三回。

Interview&Text,Photo/大屋友紀雄・松谷創一郎】
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■演劇、音楽、そして第三の活動であるお笑い

──さて、先週までで、音楽と演劇のふたつの話を伺ってきたわけ なんですが、もうひとつ、お笑いという方向性もあったわけですよ ね。今週はそのあたりからお願いします。早稲田ウルトラ警備隊と いうユニットがあったんですよね?

閣下 早稲田ウルトラ警備隊はだな、グループというか、なんとい うか、メンバーも固定していなくて……。とにかく我が輩がいれば、 「早稲田ウルトラ警備隊」だった。

──ということは、一人ユニット形態の先駆けですね。コーネリア スなんかよりずっと早い(笑)。

閣下 そうそう。ずっと早い(笑)。当時、ちょっと変わった奴が いて、そいつが「関東学生エンターテイナー連盟」なるものを創っ たんだよ。東海大の藤井という男なんだが(笑)。

──藤井さんですか(笑)。

閣下 そう、藤井(笑)。奴は、我が輩のようなエンターテイナー をイベントなどにブッキングするのに、個人単位だとややこしいか ら、登録制にして一箇所に集めてしまおう、ということを考えたん だな。それで、大学の企画サークルとかと組んで、各地のパーティ に出演するわけだよ。あとは店のオープニングイベントとか。一週 間続く美味しい仕事とかもあって、かなり楽しかったな。当時、大 川興業も「関東学生エンターテイナー連盟」のメンバーだった。

──それは……実に楽しそうな生活ですね(笑)。

閣下 うむ。好き勝手にやっていたな。で、その時に、とある有名 な漫才師から「正式に弟子入りしないか?」という話もあったんだ。

──結局、お笑いでも、プロになる道が開かれていたと。

閣下 そういうこと。だけど、雑用とかを一から始めるのもどうか なあ、と思って断わったんだ。

──断わっちゃうんですね。

閣下 その頃には、既にあちこちで可能性が出ていたしな。


■社会への視線

──最近気になることって何かありますか?

閣下 そうだなあ。聖飢魔IIの布教が完了してから、ビデオの編 集があったり、ソロのレコーディングがあったりと、ずっとやるこ とだらけだから、最近は正直言って気になることがない……という か、物理的に不可能だったりするな。あ、南北線に新しい駅ができ たので、電車に乗ったりとか。それで、人を観察したり。そういう のは常にやっている。

──電車ですか?

閣下 そうそう。電車に乗って人や環境を観察すると、面白い。性 格が悪そうな人がいたり、良さそうな人がいたり、イライラしてい る人がいたり……色々な人がいる。今日は何を考えているんだろうな、 とか。

──聖飢魔II時代でもそうですし、新作の『AGE OF ZERO!』でも そうですけれど、閣下の歌詞には、どこか社会に向けて、という視 点がありますよね。

閣下 我が輩は普通の芸能人と活動範囲がちょっと違うわけだよ。だ からあちこちからコメントを求められることが多い。そういう時のた めに準備をしておかなければならない、なんてことは考えるな。

──そういう社会への視線というのは、どこから出てくるんですか?

閣下 どこからというよりも、むしろ、自分というものが「それを するべき存在なんだ」という感じ。

──最近は、そういういわゆる社会的なことを考えることって、少 なくなってきているじゃないですか。特に、僕たちを含めた若い世 代の間では。

閣下 物事には『いい悪い』と『好き嫌い』の軸があると思うのだ が、そのふたつは違うものだから、それぞれバランスをとらなくちゃ いけない。最近の人間は、そのバランスが悪いのではないかな。

──どちらかというと、自分が気持ちよければそれでいい、みたい な感じですよね。最近は。

閣下 やっぱり、何をするにしてもある程度の社会的なベースとい うものは求められるわけで、それができていなければ、何を言って もしょうがない。好きなことしかやらないで、「俺はアーティスト」 と言ってみたところで、それは結局『好き嫌い』の話でしかないわ けだ。『いい悪い』とは別の話。だったら、勝手にやっていろ、と 一言で終わってしまう。こう言うと、説教くさいのだけど、最近は そういうことを言う人も少なくなったんで、誰かが言わないと、と いう思いはあるな。

──耳が痛いです(笑)。最後になりますが、これからの活動につ いて。今までとの違いは何かありますか?

閣下 基本的には今までとあまり変わらないな。結局は形態が違っ ても、自分がやるべきと感じたことをやる、ということが基本だか ら。まして今までもソロの活動も長いことやってきたわけだし。強 いて言えば、聖飢魔IIでの活動の時には、メンバーそれぞれの好 き嫌いというものがあったので、それをまとめる部分もあった…… だけど、

今回は当然ソロ・プロジェクトなので、よりデーモン小暮 のやりたいことが前面に出てくるかな。いずれにしても、今回集まっ てくれたプロジェクトの参加者と、これから創りあげていく、とい うような感じでやっていきたいと思う。

──これからライヴも始まりますね。頑張ってください。どうもあ りがとうございました。

閣下 期待に応えて何ぼなので、期待は大きく持っていてくれたまえ。



次週、松谷レビューに続く





【デーモン小暮閣下/プロフィール】
聖飢魔IIのボーカリストとしてデビュー以来、その才能は音楽のみに留まらず、全方位マスコミへの出演や相撲評論家としても活躍し、 1994年にはCNNラリーキングショーに日本ミュージシャンとして初めて出演。CM出演でも話題を集め、中でもフジフィルム「 写ルンです」CMにて大賞やタレント賞を受賞。

1999年12月 31日、予定通り地球征服を完了。征服の地球で今後も「表現者」 (歌唱、演劇、TVタレント、ラジオパーソナリティー)、「演出家」(舞台、CD、アミューズメント・スポット)、「文筆業」( エッセイ、批評、作詞)、「思想家」、「ジャーナリスト」、「客寄せパンダ」などの活動を行い、幅広く活躍している。

今年9月に ソロプロジェクト『!』(EXCLAMATION)を始動。サウンドプロデュースには、あのScuderia Erecrtoの吉澤瑛師と寺田康彦を迎え、 さらに新しい活動を行う。




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