■PiC Interview VOL.017 「!」
(第四回)

3週に渡ってお送りしてきた、!(EXCRAMATION)シリーズも、最終回です。いつものようにライター・松谷がインタビューを振り返ります。

Interview&Text,Photo/大屋友紀雄・松谷創一郎】
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 インタビューが終わってまず考えたのは、閣下のあのポジショニングです。

「悪魔」のミュージシャンとして人気を博し、同時にトーク番組などで弁舌をふるってきました。しかし、そのへんによくいる芸能人と異なるのは、そこに明確な存在性があることです。

それはルックスだけの話ではありません。たとえば、私にはこんな記憶があります。いまから10年ほど前だったでしょうか、『デーモン小暮のオールナイトニッポン』の最終回のことです。閣下は、「私にはどうしても納得できないことがある」と言い始め、放送禁止用語に関して訥々と話し始めました。それは、清志郎がタイマーズで『夜のヒットスタジオ』に出演した際、「FM東京」という曲をいきなり歌い始めてその予定調和を破壊したような行為とはまったく違う種のものでした。ただ、訥々と「言葉」の問題について語り始めたのです。

その詳しい内容は残念ながら覚えていません。松本明子がウケ狙いのために放送禁止用語を言い、1年間局の出入り禁止を食らったなどの話を交えていたような気がするくらいで。しかし、当時はたしかマスコミの言葉狩りのボルテージが最高潮に達していたときです。『ちびくろサンボ』が世の中から消えたのもほぼ同時期です。

そして、閣下は、自らの「言葉」に対しての考え方、当時の言葉狩り状況の不毛さを理詰めで批判し、最後に一言こう言いました。

「オマンコ」

このとき閣下が激怒などして感情的になって発言していたら、それなりに大きな問題になったことでしょう。清志郎はそれをやって大いに反響を巻き起こしたわけですが、閣下は違う。メディアの向こうにいる誰かに向かって訥々と話し、最後にその言葉を残したのです。

閣下のこのような社会への眼差しは、インタビュー第三回目にもよく出ています。「誰かが言っておかないと」と話をしてるあたりですね。それは非常に明快かつ明確です。

でもね、そんな話をする人って、いないんですよね。特に芸能人ではいない。いたとしても、共同体的保守精神を大事にしろ云々みたいなことを「人にやさしく」なんて生ヌルい言葉で伝えようとするオッサンやオバサンばかり。

閣下は違います。「悪魔」という異端のポジションで、理性的かつ論理的に語る。そして、「どうにかなるさ」と思ってもどうにもならない時代の現在は、その言葉はさらに増幅されて響きます。「社会的ベースがないと」なんて、いま明確にそこまで考えて発言できる大人は滅多にいません。

閣下は、芸能界にとっても、日本にとっても、そして人間界にとっても、絶対に無視できない悪魔なのです。

(おわり)





【デーモン小暮閣下/プロフィール】
聖飢魔IIのボーカリストとしてデビュー以来、その才能は音楽のみに留まらず、全方位 マスコミへの出演や相撲評論家としても活躍し、 1994年にはCNNラリーキングショーに日本ミュージシャンとして初めて出演。CM出演でも話題を集め、中でもフジフィルム「 写ルンです」CMにて大賞やタレント賞を受賞。

1999年12月 31日、予定通り地球征服を完了。征服の地球で今後も「表現者」 (歌唱、演劇、TVタレント、ラジオパーソナリティー)、「演出家」(舞台、CD、アミューズメント・スポット)、「文筆業」( エッセイ、批評、作詞)、「思想家」、「ジャーナリスト」、「客寄せパンダ」などの活動を行い、幅広く活躍している。

今年9月に ソロプロジェクト『!』(EXCLAMATION)を始動。サウンドプロデュースには、あのScuderia Erecrtoの吉澤瑛師と寺田康彦を迎え、 さらに新しい活動を行う。




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