■PiC Interview VOL.007  魚喃キリコ
(第三回)

魚喃の作品は世の"不思議ちゃん"たちに絶大なる人気を誇っている。 魚喃インタビュー最終回の今週は、自分自身が"不思議ちゃん"だった魚喃から、現在の街に溢れる"個性的なヒトタチ"について語ってもらった。また、魚喃個人の結婚観、次回作の構想についてもあわせて聞く。

【Text & Photo/松谷創一郎】
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前々回のインタビュー→
PiC Interview VOL.005 魚喃キリコ(第一回)

前回のインタビュー→ PiC Interview VOL.006 魚喃キリコ(第二回)






──さっき『pink』の話で、魚喃さん「不思議ちゃんだった」って仰ってましたけど、いまの「不思議ちゃん」とは違うんですかね?

魚喃 特別意識という点で全部いっしょのような気がします。私も昔は人と違うことがずっとしたくって、「私は違う人間ダナっ!」とか思いこんでたんですよ(笑)。でも大人になったら、世間に揉まれてメッキがポロポロ剥がれてって。「もう素でいいやー」ってことになって。で、その素の部分はすごくえげつなかったという(笑)。

──じゃあ、いまそういう子を見ると……。


魚喃 「ああ、気取りたい年頃なのね」ってことにしてます。距離が離れすぎて、関われなくなったので(笑)。

──最近、原宿の奇抜な格好した子たちを載せる雑誌とかありますよね。


魚喃 あの雑誌が出たときに、安彦(麻理絵)さんと2人で見て大笑いしてて(笑)。でも、ホントは私も安彦さんもちょっと敵対心があって、「私たちにできないことをやりやがってー!」って、キーキー言って(笑)。

──あははは(笑)。

魚喃 よく安彦さんとも不思議ちゃんに関して話すんだけど、不思議ちゃんは不思議ちゃんで、そういう時期だからいいんだけど、そのかわり「夢を持てよ!」って思うんです。

──夢。

魚喃 美容師さんでも絵描きでも何でもいいんだけど、夢があって目指してれば不思議ちゃんもオッケー。だけど、夢がないまま不思議ちゃんで大人になるなというか。「不思議ちゃん気取り」はいつかやめなきゃって。

──でも、夢を目指した瞬間不思議ちゃんではなくなるんじゃないですか? 具体的に未来見ちゃうから。


魚喃 あ、そっか! あ、今のちょっとビックリ! ホントだー(笑)。あ、でもね、「不思議ちゃん」と「メーワクちゃん」との違いがまたあって。

──「メーワクちゃん」(笑)。

魚喃 そう。例えば、不思議ちゃんは学生時代に親のスネかじっててもそれが当たり前だからいいんだけど、世間一般 で働く歳になって自立して自分で生活しなきゃいけない歳になっても不思議ちゃんとか。不思議になるのにお金がいるじゃないですか、いい年こいて人の金で不思議するのは、やめろ、と。それは「メーワクちゃん」だと。誰にも迷惑かけてなければいいんだけど。

──魚喃さん自身も、不思議ちゃんを経てるわけですよね。でも、すごく人当たりがいいし、いきなりぶっちゃけた話できるし。不思議ちゃんの面 影は……?(笑)

魚喃 最近「腰を低くしよう!」って思ってるんですよ。だからかもしれないですね。

──昔は違った?


魚喃 昔はいい気になってたー(笑)。

──つまり丸くなった、と。

魚喃 丸くなったというか、「私は偉くないんだ」ってのにやっと気づいたんですよ(笑)。昔は、若いのに周りがチヤホヤしてくれたから恐ろしいことになってて、そこで一回反省してガクンと落ちたんだけど、また最近上ってきちゃったなというのに気づいて、ヤベェヤベェって。

──あーでも、それは同世代の女性にも言えるんじゃないですかね? 若いとチヤホヤされるじゃないですか。25歳過ぎるとだんだんチヤホヤされなくなってきたりして。

魚喃 若いときは若いだけでホントにチヤホヤしてもらってて、映画知らない音楽知らないって言っても、若いだけで許されてたところもあるんだけど、最近もう若さに頼れなくなってきたんで(笑)、そろそろちゃんと勉強しないとなーって。知らないだけで、可愛くはないぞって(笑)。

──年齢的には結婚という制度のことも考えちゃう年頃ですよね?

魚喃 さっきもちょろっと言ったけど、「制度」とか「付き合う」とか「結婚」とか、言葉で決めごとを交わすのが、そもそもの間違い(笑)。「好きだからいっしょにいる!」と。それさえあればいいだろうって。好きな人と結婚している、好きな人と付き合っている。

──でも結婚は社会との契約ですよね。

魚喃 ですよね。結婚すると窮屈になるとか、でも、それは選んだ相手が違うんじゃないかなぁ。

──でもそう考えると、恋愛する人と結婚する人は別 だ、みたいな話になってくる。

魚喃 いや、そう思うなら結婚しないほうがいいんですよ。

──なるほど。じゃあ子どもって存在は?

魚喃 あまり深くは考えたことはないんですけど、子育てに追われるのはなんかイヤですよ。よく世間で言う、「妻であり、母であり」というのは、イヤで。それだったら、子育てとかはしなくていいなって。

──じゃあ最後に、次作のことに関して聞きたいのですが。

魚喃 描きたいものはたくさんあるんですけど、それを描いて面 白くなるかどうかは別なんでー、どうしよっかなーって。4人の女の子が主人公でオムニバスっぽくしていこうかな、と。4人が恋をするんです。みんな25、26の同じ世代で。結婚に焦ってる奴もいれば、自由に生きたい奴もいて、っていう。それに挑戦ですね。

第四回に続く




【魚喃キリコプロフィール】
なななんきりこ 1972年、新潟県出身。高校卒業後 にマンガ家を目指し上京。日本デザイン専門学校イラストレーショ ン科を卒業後、93年『ガロ』10月号で『hole』にてデビュー。 その後、『ガロ』や『CCOMIC アレ!』誌などで短編を発表し続 け、96年に初の単行本『Water.』を青林堂から上梓(後にマガ ジンハウスから再刊)。翌年、初の長編『blue』と短編集『痛々し いラヴ』をマガジンハウスから発表し、98年には、『Hanako』誌 で連載していた月イチ2ページ連載のコメディ『ハルチン』の単行本も刊行。昨年は、『CUTiE comi c』誌で連載していた長編第2作 目『南瓜とマヨネーズ』(宝島社)を発表した。 現在は、『FEELYOUNG』誌で『strawberry shortcakes』を連 載中。最近は、『anan』など、女性誌にコメンテーターとして登 場することも多い。




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